So-net無料ブログ作成

「EASTASIA 」『外伝 』Ⅲ [Ⅲ]

「EASTASIA 」『外伝 』Ⅲ


 『これで火龍の炎術者との対応策にはなったかな 』。ダンの脳裏にイフリートを制した事で自負が生まれていたが、言葉は裏腹なものだった。
 「奇遇とは怖いものだな。まさか、ミッドガルでイフリートを捕らえる事が出来るとはな 」
 「それは我が火龍に劣らず、炎術を扱えると言う事か?」とファラウェイ。
 「優劣までは分からぬが、神降ろし―イフリートを召喚出来る様になった 」とダンは答えた。
 「それでお前はどっちに着く 」とランバッド。
 「どっち…とは?」
 「龍を崇拝する方か、退治する方か?」
 「ドラゴンスレイヤーの事か…。下らないな 」とダンは言うと、ファラウェイは応えて言った。
 「この国―いや、世界を二分する勢力が『龍の騎士団 』―つまり我等と『ドラゴンスレイヤーズ 』だ 」
 「一介の魔法使いがこの国の行く末に興味などありはしない。あるのは大自然―万物の探究心だ 」
 「だが、見た限りで言えば お前は我等の逆を行く事も考えられる 」とランバッド。
 「私をここで敵視し、葬れば お前達はミッドガルから永遠に出られまい。行き着く先は『冥府 』か、ここで骸になるだけ… 」
 「今は寄せランバッド。我等の目的はミッドガルの蛇―。大事の前の小事だ 」とファラウェイは言った。
 しかし、『『イフリート 』を手にした今、何時如何なる時も、たった2人の龍の炎術者に負ける気は無いが― 』とダンの胸中はいざ、戦闘になった時の事を想定した思いに彩られていた。
 3人の睨み合いが僅かではあったが、その後、3人は無言でミッドガルを歩いて行った。
 ダンがイフリートを制したにも係わらず、ミッドガルは岩をも溶かす高温の風景であった。
 「イフリートを制したのにこの熱さ…。ミッドガルの蛇(本命 )は近いかな?」とダンは涼しげな口調で言った。
 「ミッドガルの蛇―その力、欲しいとは思うが… 」とファラウェイはダンをちらりと見ると、「ま、無理な話か… 」と続けて言った。
 「ミッドガルの蛇は齢、幾千年と生きる古の蛇。自然の摂理に反して生き、地上と冥府の狭間にただ迷い込んだ―とされているが…。あれも『力 』と言うのなら、天変地異でも起こらない限り、飼いならす事は出来ぬ 」
 ダンはそう言うと、「お主らの目的はドラゴン―飽くまでも『龍 』なのだろう?」
 「確かに力と欲するものは龍だが、幾千年と生きる蛇も使えるのなら使えるのに越した事が無い 」
 「二兎を追う者は一兎も得ずだな。目的以外の力を欲すれば邪な考えが浮かぶと思うが如何か?」
 と、ダンはファラウェイとランバッドの意図を確かめようとした。
 「お前は我等をミッドガル迄案内しながら、ドラゴンの力を得ようとする我等が何を思うのか疑問に思わないのか?」とファラウェイ。
 「お前達、『龍の騎士団 』と『ドラゴンスレイヤーズ 』の戦などに興味は無いよ。私は私が思う様にしてるだけ 」
 「して、何を思う?」とファラウェイ。
 「古に神々はほぼ知恵と言うものを持たぬ。地上で暴れ出しても困るのでな 」とダンは言った。
 その言葉に対し、ファラウェイはただ 「食えぬ奴だ 」と答えただけであった。
 「しかし、騒がしいな… 」とダンはポツリと呟いた。
 「何がだ?」とファラウェイ。
 「冥府と地上を繋ぐと言うミッドガル…。何かざわついた感が否めない 」
 「ダンと言ったな。『世界樹 』を知り、尚ミッドガルをも知っている―。ここ、ミッドガルに来た事があるのか?」
 「世界樹の在る場所を知っていながら、その先を知ろうともしないのは魔法使いには愚問だが… 」
 ダンの言葉に説得力を持ったのか、ファラウェイは頷いて見せると 「ミッドガルの蛇(本命 )のお出ましか?」とダンに尋ねていた。
 「数千年を生きた蛇なれど、その姿は『想像 』でしか無い。この灼熱としたミッドガルに生きる動物など、人間の想像に及ばぬもの 」とダンは言うと、「お主らは火龍を扱えるから、このミッドガルの灼熱を何とも思わないだろうが、こちらはたった今、『イフリート 』を手に入れたに過ぎぬ。微細な空気の流れを極端に感じるだけ。まして、この先何が起ころうとも 私には予言者(フィーレ )の才は持たぬ 」
 「成る程、つまり我等2人が『龍 』の力を得た事に、お前は過敏に感じ取っていたと言う事だな 」
 「私が嘘をついてどうなる事でも無い 」とダンは言ったが、それは相手に対し応えた程度の事だろう。
 その時だった。地鳴りがし、ダン、ファラウェイ、ランバッドの歩いている地面に亀裂が入り、蒸気が噴出した。身構えるファラウェイとランバッド―。
 「この程度で慌てて貰っては困るな。お前達が見たいと言うのは『ミッドガルの蛇 』だろ?たかだか、地割れくらいで何をうろたえる 」
 「その様子じゃミッドガルの蛇を見た風の口振りだな 」とランバッド。
 「フン。ミッドガルの蛇は『岩 』を呑み、マグマをすすって生きていると言われている。私ら3人はもうすでに『ミッドガルの蛇 』の背辺りを歩いているかも知れない 」
 「自然の生物が岩を呑むだと?」とファラウェイ。
 「時の枠組みを越え生きる『モノ 』に人知が通用すると思うのか?それこそ馬鹿げた『想像 』だ 」
 「…ならば、その力 欲するに値する 」
 「時を越えた、言わば『怪物 』。ごり押しでは無理な話だ 」
 「どう言う事だ?」とファラウェイ。
 「先程に言った『怪物 』と言うのは御幣があるな。天、海、地―大自然の中にあって時を越えるものは神に近い。故にミッドガルに巣食う蛇なのさ 」
 「神格化されてた『怪物 』と言う意味か?」とファラウェイ。
 「名ばかりで無く、多分にそう言う事だろう 」とダンは言った。
 ダンがそう言うや否や、突如3人の眼の前の岩盤が割れ、焼けた岩の様な鱗が無数に見て取れた。
 「ミッドガルの蛇の様だ。私も始めて見る。何十メートルの巨体だ。想像も付かぬ 」
 「確かにあれを飼い慣らそうと言うのは無理かもな 」とファラウェイ。
 「何を言い出すファラウェイ。俺達は何をここまで来て― 」とランバッドの言葉が終わら無い内に、岩盤と言うよりは地面が裂け、ミッドガルの蛇の全容を見せ始めた。
 「当等、本命のお出ましと見える 」とダンは言った。しかし、内心では『地上で何かあったのか?下手をすれば冥府への扉が開く 』と思っていた。 
コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。