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「EASTASIA 」『外伝 』   [Ⅰ]


  太陽は中天に差し掛かり、一人の騎士が水を湛えた噴水のある庭で剣を振っていた。
 「ファラウェイ、ランバッドが意識を取り戻した 」
 ある一人の騎士が、ファラウェイと言う視線が強く、整然とした騎士に言った。
 「で、虚けのランバッドが何か言ったのか?」と、ファラウェイは剣を鞘に収めた。
 「は。腹が減ったと。飯―いえ、食事を用意しろと… 」
 「ランバッドを牢から出し、ここに連れて参れ 」とファラウェイが言うと、その騎士は何か脅える様に、
 「ランバッドを牢から出すと言うのは如何なものかと… 」
 「まだ力任せに暴れる位なら、我が炎で焼き殺す 」
 と、何の感情も顔色には出さない様な男が微笑んで、安易に『殺す 』と宣言していた。
 「ファラウェイ。では、ランバッドが水龍リヴァイアサンの力を宿したと?」
 「リヴァイアサンかどうか分からぬが、あの二人が受け皿になったんだろうよ 」
 「あのケルベロスとか言う奴に使わせた二人ですか?」
 「他に龍退治に出向かせてる奴より、遥かに可能性は高いな 」とファラウェイは改めて微笑んで言った。「『百鬼丸 』の力の断片としての代償が高いかどうかを見分けるだけだ 」
 「もし、仮にそうであってもケルベロスは『百鬼丸 』の力の7割を所有した事になります 」
 「そんな事は些細な事だ。我等が求めるのは、今は『龍 』の力の方が重要だ。それにケルベロスが残り2本を集められる様な奴か?」と、ファラウェイは言うと続けて言った。「大事の前の小事。それよりランバッドをここに 」
 騎士はファラウェイに頭を下げるとファラウェイの前で踵を返し、大理石の回廊へと足を進めた。
 ファラウェイの前に両手を後ろ手で枷にはめられた襤褸とも思える男が連れ出された。ファラウェイはこの男―ランバッドが牢から連れて来られる時間を愉しく思えた。
 「ランバッド。何か言いたい事があるのか?」
 二人の騎士に連れられ、その身体を投げ出される様にファラウェイに突き出された男は、
 「飯だ。兎に角腹が減って仕方が無い 」とただそう言った。
 ファラウェイはそんな男―ランバッドに、「火龍を奪いに行った記憶はあるか?」と尋ねていた。
 「そんな事は覚えていない。兎に角、飯だ。飯を食わせろ 」
 ランバッドの応えに、ファラウェイは微笑むと 右手の手のひら何かを持つ様に構えると、その手のひらに炎が灯り 
 「残念だったな、ランバッド。火龍の力は俺が継承した。お前の力を見せてみよ 」と言った。
 「そんな事より飯だ、ファラウェイ 」
 襤褸としか見えぬ男が、『ファラウェイ 』と口にした瞬間だった。ファラウェイは手のひらの炎をランバッドへ投げつけた。その時だった。噴水の水が鞭の様に伸び、ファラウェイの炎を飲み込んだ。
 「リヴァイアサンでは無いな。―ヒドラか… 」とファラウェイ。続けて、「何処まで力を付けているのか知らないが、ま、良いだろう 」と言うと、「ランバッドに食事を与え、龍の騎士に相応しい見栄えある姿に 」と続けて言った。
 「しかし… 」
 ランバッドの拘束を解く命令に躊躇する二人の騎士に、ファラウェイは、
 「お前ら、俺に殺されたいのか?」
 と言った。
 「ランバッドの力を量りかねます。食事を与え、騎士に戻しますが 両手の枷だけは外せませぬ 」
 ファラウェイはその陳情に微笑むと、「それで良い。食事を与え、身支度を整えた後 改めてランバッドを我が前に 」と言った。
 ファラウェイの言葉に二人の騎士は頷くと、ランバッドを二人で抱えた。
 「今暫らく、消えよヒドラ 」
 ファラウェイはそう言うと、炎を飲み込んだままでいる鞭の様に伸びた水は爆発し、辺りを水浸しにした。
 「ククク…。ヒドラか。我が炎を飲み込むと言うのならば炎まで食らえると言う事になる。奴もまた炎術者… 」
 ファラウェイはそう言うと、「力を蓄え、我が前に来るが良い。火龍の力 分け与えよう 」。そして、ファラウェイはランバッドの後を追う様に回廊へと足を進めた。
 と―。
 「難儀な事だな、全く 」
 ファラウェイの姿が大理石の回廊の中に消えたと思うや否や、何処かの木陰からそんな呟きが聞こえたかと思うと一人の男が姿を現した。
 「火龍に加えて、ヒドラまでもか… 」と言うなり、龍の騎士団とは思えない出で立ちの男がファラウェイの後を追って、足を進めた。七人の賢者の一人―ダンである。「我が力奪われるおそれは無いが、改めて城に入る方が賢明だな 」と言うなり、進めた足を止め踵を返すと木陰に足を向けた。
 一刻の後、龍の騎士団の城の門をダンは叩いていた。
 ダンの急な訪問に、龍の騎士団の門兵は驚き ダンに用件を尋ねていた。
 「我が名はダン。ウィザード(魔法使い )。2つの龍が交わる夢を見、ここに参じた 」
 ダンの言葉を聞き、門兵は驚きを隠せず 一人はファラウェイの下へ走り、一人は門の前で待つ様にダンに告げていた。
 「ファラウェイ様、一人の魔法使いが面会を申し出てます 」
 「ウィッチかウィザードか?」とファラウェイ。
 「ウィザードです 」
 「何用だ?」
 「それが2つの龍が交わるのを夢見、参じたと― 」
 ファラウェイは微笑むと、「今日は退屈な日では無いな。面白い。その魔法使いを丁重に持成ししろ 」
 「城内に?」
 「持て成せと言った筈だが?」とファラウェイ。
 「は 」と門兵は頭を下げると、再び元来た道を引き返した。
 「ククク…。よくよく退屈しない日だな、今日は 」とファラウェイはそう言うと玉座の間へと向かった。
 
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