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 「EASTASIA 」『外伝 』 [Ⅱ]




 「しかし、ガウロップに騎士だけを派遣させてミッドガルの蛇を見たいとはどう言う了見だ?」とダンは言った。
 ダンが雪山を平然と歩くのに対し、防寒具に身を包めた ファラウェイとランバッドは、
 「この世と『冥府 』を繋ぐ場所にいる『蛇 』が『龍の力 』を宿すものか確認するだけだ 」とファラウェイ。
 「それより本当に『冥府 』と言う世界はあるのか?」とランバッド。
 「この世界、4つの世界が存在する。無論、各々の国では考えが違うが― 」とダンは前置きをした上で、「まず天界、地上界、海王界、冥府(冥界 )だが、地上界と海王界は密接に関係しているが、人が神との戦いに勝利した事で、人間界に天界は係わらなくなった。係わる扉を閉じてしまった。冥府も然りだが、元来冥府は大罪人の入り口。神との交流があった世界では世界樹の更に上が天界とされ、人間までも行く事が出来たと言われている。―しかし、世界樹のもう片方の端はミッドガルに通じ、冥府までの行き道だ 」
 「帰る事は出来ないのか?」
 「冥府の王が物好きでな。集めたものを与えたり、返さないと言う欲張り者だ 」とダン。
 「それより世界樹とやらは何処だよ!山を登ったり下ったりでたまらん 」とランバッド。
 「『龍の力 』を得て、この位で疲れるな 」
 「なあ、ダンとやら…。お主の本心を教えてくれぬか?」とファラウェイ。「火龍を得て、俺は強くなったと思ったが、単身城へ乗り込んで来た お前を始めは『啓示 』位に来た『物乞い 』の魔法使いとしか思えなかったが、ガウロップに兵を出すと言った時も眉一つ動かさず、我等の願いを叶えようとしてくれている 」
 ファラウェイはそう言うと、「お前はどちらの味方だ?」と尋ねた。
 「それは『龍の騎士団 』と『ドラゴンスレイヤー 』との事かな?」とダン。
 「そうだ 」ファラウェイ。
 「ならば、どちらでも無い。それにお主らが望んだミッドガルの蛇もミッドガルにしか生きる事が出来ぬ、ただ大自然が育んだ大蛇。お主らがどうこう出来るものでも無い 」
 「では、そう言えば我等の気が引くと?」
 「ファラウェイ殿。幾ら言葉を詰むんだとしてもお主らは、ミッドガルの蛇を探し出すまで飽きぬだろう?」
 「ならば、実際見せた方が早いと?」
 「百聞は一見にしかず。見れば諦めもしよう 」
 頭に降り積もった雪をかき乱しながら、ランバッドは
 「それより、世界樹とやらはまだか 」
 と、誰に尋ねると言う訳も無く言った。
 「目の前、山脈とも思える『山 』に囲まれた中央に大きく育っている。人は山と勘違いするがね 」
 「それでその『世界樹 』とやらは?」とファラウェイ。その台詞に応える様にダンは、「人の眼には見えない。世界樹に入り込んだ時、上か下かに道は分かれる 」
 するとファラウェイはダンの揚げ足を取る様に、「神は前の人との戦に破れた為に人に干渉はしないと言ったが?」と言った。
 「おそらくだが、冥府へ道取りへと誘われる 」
 「ミッドガルへと?」
 「そう、お主らが望む様にひょっとすれば『ミッドガルの蛇 』に逢えるかも知れぬな 」
 と、その時だった。ダン、ファラウェイとランバッドの身体が虚空に浮かぶ感覚に襲われ、急激に3人の身体が落下を始めた。
 「どうやら、世界樹に入り込んでいた様だ 」とダンは言った。
 「ヒュー 」と口笛を鳴らすランバッド。ファラウェイは落下の途中でダンを見ていたが、ダンは慌てるふうも無く ファラウェイは訝しくダンを見ていた。
 3人の身体が宙に浮く様に速度を落とすと3人が3人とも大地に足がついた。
 「どうやら、無事ミッドガルに着いた様だ 」とダン。
 しかし、3人の前に異形の者が立ちはだかり、周囲を炎熱に変えていた。
 「どうやら、ミッドガルには歓迎されないらしいな 」とファラウェイ。
 「試してみるか、ヒドラの力を 」とランバッド。
 「辞めた方が良い。相手はイフリート。地獄の業火とも言える力の持ち主だ 」とダンは言った。
 「『地獄の業火 』?ならば好都合、火龍の力 試すには格好の相手だ 」
 イフリート自身、今の待遇に苛立っているのか、3人の訪問者に機嫌が悪いのか吐かれる呼気は炎熱に帯びていた。
 「好きにすれば良いが、炎で炎は倒せない。ま、圧倒的な力の差があるのなら別だが… 」とダンは言った。その時だった、ファラウェイから炎の帯が伸びた。ランバッドはランバッドで両手から、炎の帯を伸ばしていた。どちらも、イフリートを制するつもりであった。
 イフリートはファラウェイの火炎を受けると、イフリート自身の持つ炎の力が倍加した。
 イフリートの全身が炎に包まれると、あちらこちらで蒸気が噴出した。ミッドガルや世界樹とは言っていたものの、周囲は極寒の山に包まれた大地の下層にあったからかも知れない。
 ランバッドが両手の炎の帯で、イフリートを攻撃しようとした。しかし、ファラウェイがそれを止めた。
 「我等の目的はこんな下等な化け物では無い。これ以上の攻撃はお互い火傷じゃ済まないぞ 」と言うと、続けてファラウェイは言った。「我等の目的はミッドガルの蛇。目的を誤るな 」
 ファラウェイの言葉にランバッドは舌打ちすると、手から伸びる炎の帯を手の中に戻した。
 「しかし、相手は攻撃意欲が高いな。炎術で撃退出来ないとするとどうするか… 」とファラウェイ。
 「ならば、私が行こう。イフリートの力は私が貰う 」とダンは言った。
 ファラウェイはダンを見た。ダンはその手のひらに光る球体状のものを何時の間にか手にしていた。
 「なんだ、それは… 」とファラウェイ。
 「イフリートを手にしたら教える 」とダンが言うや否や、イフリートは全身に炎を纏いダン目掛け突っ込んで来た。
 ファラウェイの眼には到底ダンが勝てる要素が無いと思われた。しかし、全身を炎で纏い突進をダンは手のひらの球体で受け止めていた。
 「何だ、その球体は?」
 「純水で作った氷塊 」とダンはそう言うと身の丈が人の2倍もあったイフリートをその球体に閉じ込めた。
 「これでイフリートは私のもの 」と言うや、ダンは、手のひらの氷塊の中に封じ込めたイフリートとは別の球体を手のひらから出現させた。
 「クリスタル水晶 ) 」とダンは言うと、イフリートを閉じ込めた氷塊を更に水晶に取り込んだ。
 「ダンとか言ったな。やはりお主、ただの魔法使いでは無いな 」とファラウェイ。
 「炎の化身と言えど大自然が生んだ歪みや結晶。万物を理する私に適いはしない 」とダンは微笑んだ。

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